タイトルのページの次に“最初のギリシャ作戦に参加した戦闘機隊の最後の日々に関する若干の覚え書”とあります。
ロアルド・ダールはイギリス空軍にパイロットとして第二次世界大戦に従軍した経験があり、その経験は「単独飛行」として出版されていますが、この短編はそういったバックグラウンドから書かれたものだと思います。
ナチスドイツによって侵略されたギリシャで作戦行動をするイギリス空軍の部隊が爆撃のあった町で出会ったカティーナという少女を連れて移動する中でのお話。
戦争の残酷さは多くの作品で描かれていますが、この作品で私たちは何を為すべきか、何を為さないべきかを感じるべきでしょう。
部隊の移動中、通りがかった町でドイツ軍の爆撃によって破壊された建物のがれきの上で座っていた少女。
語り主は、その少女を別の町で偶然見かけ、小学校教師をしていた通訳になぜそこにいたのかと訊かせます。
その建物の下には少女の両親が埋まっていたのです。
少女は部隊と一緒に移動することになりますが、部隊の基地がナチスドイツの戦闘機に襲われた際、その戦闘機に向かって怒りと共に走って飛び出していきます。
ドイツ軍機は親を奪った敵であり、幼い少女には自分が死ぬという事は意識の端にもなかったのでしょう。
ナチスドイツに主導権を握られ撤収していくイギリス空軍と蹂躙されるギリシャ。
その下には大勢の人たちが犠牲になっています。
分別のある大人なら逃げることを考えても、幼い子供は怖いという気持ちを持たず、その感情のまま動いてしまいます。
大人は、自分たちが選んだ、あるいは従った結果の責任がありますが、子供には責任はありませんし、そもそも何の事かも理解が出来ません。
戦争は責任や関係の有無を問わず老若男女逃れることが出来ない悲惨な結果を生むのです。