「図書館」について、現在の日本ではポジティブなニュースを聞きません。
聴こえてくるのは経費削減による予算減で、書籍の購入はもちろん、図書館運営の外注化による運営費削減。
その中で「図書館」を冠する書籍がどう受け止められるのか…
この物語の主人公マツリカが成長して「高い塔の魔女」と呼ばれている世界を描いた第1作が発表されたのは2016年。その頃から現実世界の図書館の状況は変わっていません。
もっと言えば、映画化もされメディアミックス展開でも成果を収めた有川浩さんの「図書館戦争」シリーズの時代も図書館は一部の人が利用するもので、立場的には変わらないよね。
むしろ利用する人が少ない図書館だからこそ、このような作品が生まれるのかなと思ったりします。
このお話はマツリカの成長を縦糸に、「高い塔の番人」で用間の王とも呼ばれるマツリカの祖父率いる図書館の活躍で「起こらなかった戦争」を横糸に織り上げられたと言ってよいであよう。
後に祖父の後を継ぎ「高い塔の魔女」と呼ばれるマツリカですが、実際に魔法を使うわけではなく、祖父が未然に戦争を防いだように古今東西の書籍から得た知識や収集した情報をもとに、認められた高い地位と権限で巧みに国内政治や外交問題に助言を与え、場合によっては直接行動する姿を描くもので、いわゆるファンタジーではありません。
知の集積としての図書館と、その知を身に着けて適切に判断が出来ることは、知らない者にとっては実に魔法のように見えるかもしれません。
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