2023年4月10日月曜日

【ストーリー・セラー】有川浩 作 2010年8月20日発行 新潮社

 小説と妄想。同じ作り事ですが、どこが違うのかと言えば、おそらくは書かれたものが他人に対して説得力を持つのが小説。作者の自己完結で終わるのが妄想と言えるでしょう。

すると、自分が妄想だと感じる作品も、別の人に対して説得力があれば小説。そして、それが活字となり一般に流通していて、多くの人の支持を得ている作品は立派な小説と言えるわけです。

それとは別に、好みではないという感想を持つ作品がありますが、それはその世界の規範はおおむね受け入れられるけれど、その運用の仕方が好みではないという事だと考えています。表現の仕方や言葉の選び方、ストーリーの運び方など、こうでなければならにという事は無いのですが、感覚が合うかどうか。

それを踏まえて、自分にとっては妄想的な作品だと感じました。


もともと何人かの作家の作品を集められた作品集に収められた作品で、そのタイトルにもなっていた「ストーリー・セラー」。それはこの本の中でSide:A。そして作中でさらりと語られる「長さ的に短編集ではバランスが悪いので、もう1作品」とされているのがSide:Bなのでしょう。

作中の現実と作中の作品、(そして作者の現実の一部)がそれとなく接点を持つ作りは面白いなと思います。

双方とも小説家の妻と会社員の夫のなれ初めから別れまでのお話です。

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