月を友とする孤独な貧しい画家が月から聞いたという第1夜から第32夜までの物語と呼べないような短いシーンの断片。物語の結末を求める読み方では1839年に出版された作品が今日まで言葉を越えて読み継がれているのはなぜなんだろうと不思議に思うのではないでしょうか。
しかし、アンデルセンの名を残す童話の世界でも、単にそこに描かれた物語を読んで満足するものではないもの。そこには教訓を子どもたちにわかりやすく教えるという役割があります。
月の視点で語られる出来事は、画家が解釈して絵にすることで完結する。その断片にどのような結末をつけるのか。
それは画を描く画家の仕事、絵のない絵本で、その絵を想像するのは読者の仕事なのです。
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