2021年10月3日日曜日

【カブールの本屋 The Bookseller of Kabul アフガニスタンのある家族の物語】アスネ・セルエルスタッド著 江川紹子訳 イーストプレス 2005年7月15日第1刷

アメリカ軍のテロ組織掃討作戦でタリバン政権が倒れた後のアフガニスタンで本屋(著作権も何も規制がないので海賊版の出版業を含む)を営む男と、その家族の生活を描いたノンフィクション。

タリバン政権下で禁止されていた音楽や動物や人の写真の印刷された書籍、女性の労働などが解禁されても延々と続いてきた社会の習俗は残り、それがまた今タリバン政権が復活する要因となっている。そんな風に感じました。

著者は非イスラム教徒の白人女性であるため、女性としての立場とは別に、男性の中に入っていっても排除されることはなかったと言います。

そうした状況でその家族の話を聞き、取材したもので、その家族の長であり本屋の主人は敬虔なイスラム教徒であるわけではありませんが、イスラム教の家族の在り方にこだわります。女性たちも、そうあるべきと考えながら、しかし理不尽さも感じています。

男性の立場からすれば家族を守っている。女性の立場から見たらモノや召使のように扱われている。

宗教の如何にかかわらず、父権の強かった時代、どこでも同じような事があったのでしょう。男女、それぞれの役割が分かれている社会では、そうなるのかもしれません、

また、強すぎる一族主義は対立を生み武力を容認する社会は変わらないんだろうな。

女性を大切にしない社会は女性が埋めれることを良しとしない世界。でも、イスラム社会だって女性がいなければ存在できないのです。

それぞれがそれぞれを尊重できる社会が生まれなければ、争いも終わらないと思うのですが。

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