映画は1947年東宝作品で、監督は豊田四郎。自分は未見の映画です。
“正雄の父親の親友が急な転勤で、その娘を一時預かることに。その少女 由起子と正雄はお互いに惹かれあうようになるが…“
という、筋だけを見ればストレートな恋愛物です。タイトルからして「初戀」ですし。
シナリオには由起子を美少女、正雄については由起子が来るまでは“友人を家に連れてきたことのない”少年で、部屋は散らかしているくらいの記述。
少女一人の出現でその家で起きる変化が10枚ほどのシナリオで鮮やかに描かれています。
前半は正雄と由起子の恋の始まるドラマ、後半は正雄を心配に思う母親と正雄を想う由起子のドラマ。
映像的には外に直接つながる玄関があり、台所があり、居間があり、両親のいる1階と、正雄と由起子のいる庭に面した窓があり、当然1階からは見えないし、直接外にはつながらない2階という棲み分けが効果を引き立てるように思います。
友人が家に来るようになったのは活発な美少女の由起子目当てなわけですが、それをきっかけに正雄と友人たちの絆は深まっていったのでしょう。
のんびりした父親と気をもむ母親で、母親のとった行動は、母親本人に「女親の嫉妬みたいなものがあったのではないか」と言わせていますが、そもそも一時的に預かった少女ですから、その時が少し早いか遅いかだけだというのはわかります。
それぞれの配役にいろいろな解釈の余地を残して、それによって味わいの違いが出るシナリオだなと思います。
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