2021年9月3日金曜日

【有機農業で変わる食と暮らし ヨーロッパの現場から】香坂玲・石井圭一 共著 岩波ブックレットNo.1044 2021年4月6日第1刷発行

 著者が農水省の研究委託事業として2018年からドイツ、オーストリア、フランスにおける有機農業の動向を分析したものを日本における有機農業のあり方として問題提起したもの。

フランスは言わずと知れた農業大国だし、ドイツも農業は盛ん。オーストリアの農業はイメージがなかったけれど、有機農業が一般に認知され広がっているとか。

確かに有機農業は農薬を使わないという点で農薬を作ることによる環境負荷、使用することによる環境汚染に対して有効だし、栽培する人、摂取する人の体にも良さそうなイメージがある。

しかし、なぜ農薬や化学肥料を使うのかという事をちゃんと理解して。それを上回るメリットを示さない限りうまくはいかないだろうなと思う。日本の有機農業の比率が高まらないことを見ればわかる話で、それを無視した報告ならば実効性は無いに等しい。

また、将来、食料案が予想されたんぱく質を得るのに昆虫食が…とか、穀類の生産が足りなくなると言われる中で、有機栽培を進めるとすると収穫量が劇的に上がらなければ世界は飢餓に苦しむことになるだろうし。

農薬の使用や化学肥料や人工飼料を使った畜産などで排出される地球温暖化ガスと土壌汚染に対して貧困と飢えの問題で、どうバランスをとるのかって問題で、単純に有機農業を広めようってのはあまりにイノセントな話。実のある研究とは思えないな。

しかし、化学大国で巨人バイエルの本拠地ドイツで化学肥料を使わないことで補助金が出るというのは、政府の政策に理念があるなと感じた。日本ではまずできないだろうな。

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