新潟県の山あいにある冬には3メートルも雪が積もる地域の小さな小学校。その年新入生がいないので入学式がありません。それではかわいそうだと3頭の子牛が“入学"してきました。
生徒は3人で1頭の牛の世話をします。みんなで牛舎の清掃をし、干し草を作り、エサをあげ…そんな中で牛は病気になってしまいます。
当時、小学3年生だった少女が、牛の世話をするなかで抱いた夢・・・・・・、それは「牛のお医者さん」。
懸命に世話をした牛との別れ、家族や周囲の支えと夢への熱い思いを胸に挑んだけわしい獣医師への道。
夢を実現し、“ペット"ではなく、“家畜"のお医者さんとなったかつての少女は、結婚をし、お母さんになり、今も獣医師として命と向き合っています。
テレビ新潟で製作されたドキュメンタリーで、夢を描いた少女に1987年(昭和62年)から26年間密着したドキュメンタリー映画。
公開当時に話題になった作品ですが未見で、開局40周年という事で、獣医さんになった彼女の現在までを加えて放送されました。
体験授業で命を考えるという意味では2008年に「ブタがいた教室」という映画がありました。新米教師の星先生は小学6年生の26人の生徒たちと、卒業までの1年間“食べる約束”で子ブタを飼い始めますが、子供たちはブタをPちゃんと名づけて世話をするうちに愛情が芽生え始め、やがてPちゃんを「食べる」「食べない」でクラスの意見は真っ二つに…という作品。
こちらは育てた子牛が業者へ引き取られるまでで、命を考えるというより命に触れあうことにウエイトを置いた…というか、主人公の少女の実家は畜産農家なのでいずれ自然と向き合うことになることを小学生に教えることもないという目的と環境の違いがあります。
彼女は牛の病気を治してあげたいという気持ちから持った夢を実現し獣医となり、産業動物としての牛や豚の命の値段と向き合うことになります。
獣医師として畜産農家に頼られる彼女は、それについては割り切るしかないわけで、彼女の強さとたくましさを感じます。
それにしても26年間取材されるというのもメンタルが強くなければできないことですし、そのために夢を諦めたり別の夢を追ったりすることが出来なかったんじゃないかとも感じます。
子どものころの夢を努力して実現した物語なのですが、ドキュメンタリー作品はそれを製作することによってその対象の行動に影響を与えるもの。そういう見方をすると、対象によっては製作する側にも覚悟が必要なジャンルだと思います。
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