2021年3月26日金曜日

シナリオ【きまじめ楽隊のぼんやり戦争】シナリオ・監督:池田 暁

 2021年3月26日公開のこの映画、新潟では単館系の映画が上映される順番は必ずしも早くなく、この映画も上映は来月(2021年4月6日)。

一足先に「シナリオ 2021年4月号」に掲載されたものを読んでみました。

題材として近いのは三崎亜紀さんの小説「となり町戦争」

この物語の主役 露木は兵士とはいっても定時に始まり定時に終わるとなり町との戦争で川の向こうへ適当に銃を撃っているだけで、戦争というよりは銃弾を消費しているだけの存在。それが過去に楽器をやった経験があることから楽隊へ配属され、見えない対岸の敵との音楽で交流するが、その交流とこれまでのぼんやりした戦争は新兵器により終わる。

映画化された「となり町戦争」は見ていないけれど、その原作では人間のドラマが描かれる。

このシナリオでは非現実的な設定をどう理解させるのかというプロセスと、その存在をどう描くのかは映像の作り手に任されている気がします。まあ、この作品は監督が脚本も書いているわけですけれど。

シナリオを読み終えて感じたのは「舞台演劇の脚本みたいだなあ」ということ。

なんだか舞台の上で書き割りのセットで演じられていてシーンの転換時には暗転があって、ガタガタごそごそセットを入れ替えてるような雰囲気があります。

個人的には、となり町との戦争という非日常以外にも登場人物のキャラクターや行為が簡略化・デフォルメされているんだろうなと思うけれど、映画の表現手段であればもう少し描けるのではないか。あまりにも割り切っているのではないかと感じてしまうところが舞台的な印象を強くさせているのだと思います。本当に少し整理すればこのまま舞台でやれそうな感じ。

リアルな物語にしてしまうとメッセージ性が薄れてしまうのかな…と思うと同時にリアルなものを作ろうとすると時間もお金もかかるわけで、その制約を想像すると伝えたいことがちゃんと伝わっている作品だと思いました。

しかし、VIPO(映像産業振興機構)が企画・製作なんてするんだなというのと、製作協力が日活撮影所じゃないってのがちょっと驚き。


企画・製作:映像産業振興機構

製作協力:東映東京撮影所

共同事業幹事:カルチュア・エンタテインメント

配給:ビターズエンド

監督:池田暁


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