霊長類学者である著者のゴリラに対する知見を通して、人間の在り方を考えさせる本。
同じ霊長類でもゴリラとニホンザルでは生き方が違い、元々ニホンザルを研究していた著者が研究の対象をゴリラへ移した経緯は語られていないけれど、アフリカでのゴリラとの暮らしで、人のあるべき姿を重ねて考えるようになった。
ゴリラはけんかはするけど殺し合いはしない。
ニホンザルと目を合わせると争いになるけれど、ゴリラは目と目を合わせてコミュニケーションをとる。
ヒトはどうなのか。
現在のヒトは多くの人とコミュニケーションをとる代償として、つながりが薄くなり、その結果、他人の命より自分の利益を優先する。
目と目を合わせることが争いになるのは力関係があいまいだと不安になるからで、目を合わせても平気なのは、そんな事は気にしないから。
サルは争いがあると、どちらかに加勢して決着をつけるが、ゴリラは仲裁に入る。
ヒトやサルと、絶滅危惧種であるゴリラの群れの大きさも関係すると考えられる。
栗本慎一郎「パンツをはいたサル」という本があったが、本の中身はともかく、ヒトの存在としてはまさにその通りなのだろう。ヒトとサルの違いは知性であると考えるなら、それでいいのかと考えるきっかけになる。
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