という事は、最初に読んでから20年。引っ越しをするたびに本を処分していて、この本も、いつか手放していたけれど、思い出して図書館で検索して書庫にある本を借りてきた。
巻末の付記に、この物語は10巻ある妖精の世界の物語の5巻目と6巻目の抜粋とあったけれど、発表されないまま今年3月、著者は亡くなった。
過剰で足りない作品だけど、語りたいエピソードが沢山あって、それで分厚い本になったんだろうな。荒削りな宝石の原石のような作品だと思う。
物語は幼くしてみなしごとなって教会に預けられた主人公ペチカが、地域ぐるみのいじめの果てに故郷を脱出して、成長していき、やがて赦すという事で世界を救うというもの。
人間の世界を見に来た妖精や、悪意を溜め込む紫水晶とうファンタジー要素があるけれど、人は何故憎むのか、いじめるのかという問題も描いている。
彼の頭の中にはまだ語られない物語があったのだろうけれど、いつかそれが発掘されることがあったら読んでみたいな。
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