少し早いけど、今年の映画は「君の名は。」と「シン・ゴジラ」の2本が席巻した年として記憶されるんだろうと思う。「君の名は。」はジブリ以外のアニメ邦画で初の100億円超え、「シン・ゴジラ」も60億円を超えたのは何作目以来かという話。なぜそこまで興行収入が伸びたのかという分析をする人がいるけど、そこにあるのは空気感が大きくて、後の製作にどれほど生かせるのかわからないだろうなと思っている。分析が役に立つなら大手のほとんどの映画は当たってるはずだし。
エンタテインメントの役割として話のネタの提供というのがあるけど、ホントそのレベルなんじゃないかな。分析もネタの一つとして楽しむという。
そんな中で、昨晩NHK教育テレビの“Rの法則”というティーン向け番組で「君の名は。」の新海監督が出演して質問に答えるという企画をやっていて、なぜ10代の気持ちが分かるのかという質問に対し、監督は自分の昔を思い出して考えるという作業をしているだけというニュアンスの回答をしていた。
そりゃ、そうだろうなと思う。大人は初めから大人だったわけじゃないし。逆に、なぜ10代の気持ちが分かるのかって質問が出てくるところが興味深かった…って言うか、普段大人は子供のころの気持ちなんて考えて接していないだけで、決してそのころの気持ちを忘れているわけじゃないと思う。
思い出しながらも無視した対応をするイヤな大人もいるかもしれないけど、大人になるという事はいろんな経験を積み重ねるという事で、その経験から無意識のうちに切り捨ててしまう事だってあるんだ。そして、それは必ずしも若い人たちの意見を切り捨てているわけじゃない。
新海監督は若い人の気持ちもわかるクリエイティブ人という評価をした時に、自分が創造した物語を感動的に構築して表現できるところはクリエイティブ。でも若い人の気持ちが分かるという部分は、自分と自分の知見をとことん突き詰めるここが出来る能力があるというのが正解じゃないかな。
今後AIが脚本を書くようになったとしたら、膨大な量のデータからいろんなケースを組み合わせることが可能になると思うけど、そこに感情というフィルターをかけられるのが人間のアドバンテージになるだろう。
感情を数値化して組み立てるかもしれないけど、それが心の中から湧いたものでなければ浅いものになるんじゃないか。感情というのは必ずしも一つの事を出発点にした連続したツリーで表すことができる気持ちではないから。
問題は、そんな時代が来た時に、人がそういう機微を感じる心を保てているかどうかだったりして…
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