行動経済学を犯罪捜査に応用したらどうなるか…しかし、まあ人間の行動は基本的には論理的なわけで、わざわざ行動経済学を謳わなくても“誰が一番得をするか”みたいな視点は珍しくない。それを数値化して計算するというのがこの物語の新しい視点だ。計算と言ってもロジックで説明されるだけなので数字アレルギーの人にも抵抗ない範囲だと思う。
物語は3件の連続殺人と思われる事件の顛末で、読んでいると比較的わかりやすい伏線もあり、適当に緊張感をもって読める。
個人的には行動経済学という分野、もっと言えば経済学という学問について期待することはない。たとえ理論が正しくてもすべての要因を把握することはできないわけで、起こった事象から逆に分析していく後追いの学問という印象があるからだ。
人は全能ではないから、すべてを把握して将来を予測することはできない。でも過去に起こったことを分析するのは得意なのか。この物語のように殺人事件という狭い範囲なら網羅的にデータを集めて分析することは比較的やりやすいかもしれないな。
でもそれって、おそらく犯罪捜査の基本じゃないのかなという感覚的なものを、数字に置き換る事で見える化して捜査する。
一筋縄ではいかない事件をこの経済学者と、コンビを組む刑事に向かないと思っている女性刑事がどう解決していくか。
いろんな要素が詰まった物語ではある。
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