2016年2月21日日曜日

【月とキャベツ】 監督 篠原哲雄 製作 西友・エースピクチャーズ 配給 エースピクチャーズ・シネセゾン 1996年公開

この作品は、このブログでも随分前に取り上げているけど、ちゃんと書いていなかったので再見したのを機会にもう一度書いておこうと。

作品の原作というかオリジナルは、鶴間香さんという方の、さっぽろ映像セミナー入選作品「眠れない夜の終わり」

ひとことで言えば、ロマンチックな、ちょっと切ないファンタジー映画。
創作ダンスに馴染みがないからか、やっぱダンスシーンは何やってんだろって思ったりもします。
でも、そのダンスは重要な役割を果たすわけで、どう見せるのか(見せないのか)というのは監督の手腕だと思うのですが。
映画初出演の山崎まさよしさんの存在感と音楽のマッチングは絶妙です。逆に言えば、彼抜きでは難しい映画だったという事。
初めて見た時は、夜のキャベツ畑が綺麗だなと思った記憶がありますが、テレビサイズだと少しげんなりするかも。


以下、あらすじ----

人気バンドを解散し、一人山奥の廃校に籠もって作品とキャベツ作りに励むハナビ(山崎まさよし)は、プロデューサー(ダンカン)へ近況報告のため東京へ出かけ、帰りに何もない埋め立て地にクルマを停めてぼんやりとラジオ(台風による各地の被害を伝えている)を聞いているとバックミラーにダンスをしている少女(ヒバナ 真田麻垂美)が写る。
バスに乗って気が付いたらここにいた。カバンはバスに忘れて来たみたいという彼女に、お金をあげてその場を立ち去るハナビだが、その晩ハナビの暮らす廃校にヒバナが現れた。
追い返そうとするハナビだが、結局彼女を泊める事になる。

ハナビの友人でカメラマンの理人(りひと)は、そんなハナビを心配して訪問するが、ヒバナを見て問題のある子ではないと安心する。

ヒバナはハナビに触発され、行き詰っていた新しい曲の形ができ始める。

ある日、理人へ雑誌編集者の森崎(中村久美)から去年のダンスコンクールの写真は無いかと問い合わせがあり、理人はその中に偶然ヒバナの写真を見つける。
森崎に、この子を知らないかと訊く理人。
ヒバナは、今年のダンスコンクールに参加できなかった唯一人の女の子で、北海道から東京へ出発する時にバス停で台風による土砂崩れに巻き込まれて亡くなっていたのだ。

理人がハナビに渡すようプロデューサーから預かったファンレター(時間が合わない気もするけど)の中に、ヒバナの母親からの手紙があり、その中でヒバナはハナビのファンで、遺体が見つかった時、まだ動いていたウォークマンにハナビの曲がかかっていたという事と、同封された日記を読む。

理人は二人のもとを訪ね、ヒバナと二人きりになった際にその事を伝え、写真を見せる。
ハナビはその時、その事を知らない。

やがてハナビの曲は完成するが、ヒバナはそれを待っていたかのように消えてしまう。
喪失感にさいなまれるハナビが、満月の夜、その曲を弾いているとヒバナが現れ、曲に合わせて踊るが、曲が終わると消えてしまう。

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後に俳優としても活躍する山崎まさよしさんの俳優としてのデビュー作。
使われた曲は「One more time. One more chance.」
この映画ではピアノの弾き語りですが、後にギターバージョンが「秒速5センチメートル」というアニメ映画で使われます。
ヒロインの真田麻垂美さんは、個人的には「きみのためにできること」という映画以来見ていない。その後もしばらく活躍されていたようですが…女優さん、やめてしまったのかな。

映画としての評価はともかく、雰囲気は素敵だし役者さんの演技だって悪くない。

製作・配給を見ると、あの時代を思い出します。バブルな頃。
まず、製作に西友が入っている事。当時の西友は今は無きセゾングループの中核企業でいろんなものに手を出していました。配給のシネセゾンは、もちろんその系列。
エースピクチャーズは、今のアスミックエース。当時の資本としては角川系列(今はジュピターテレコム傘下)で、しかもシネコンがない時代。単館系で求められるサイズの映画でした。

これだけ権利関係が入り組んでいる(しかも破綻したセゾングループが絡んでいる)と二次利用とかめんどくさいと思うのですが、DVDの販売がまたKSSで、私が持っているDVDの裏にはジャスラックシールが手貼りしてあるという…
そうでなければもう少しメジャーになっておかしくない映画だと思うのです。

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