2016年1月3日日曜日

【佐渡の三人】 長嶋有 著 講談社文庫 2105年12月15日第1刷発行

表題作「佐渡の三人」を含む短編連作集。

ライターの私、ひきこもりで祖父母の面倒をみている弟、その周辺で、テキトーな距離感を持って生活している祖父母の私と弟の父親も含む子供や嫁や孫。
軽快で誰かや何かを否定するわけでなく緩く許容して不思議に生きている人たちを、緩い文体で描いている心地の良い作品。

あー、新幹線に禁煙席ってあったよな。つうか、列車の中でタバコが吸えてた時代があったんだ。みたいな。
吉祥寺ロンロンってあったよな。ロンロンって、駅ビルが長いからロングロングを略してロンロンだったみたいだよ。みたいな。
ちょっと昔の事を知っているかどうかで味わいが変わるんだろうな。
表現や空気ってのは、時代によって変わっていく。
そんな感じがする。

表題作の初出は文學界2007年1月号、この短編集の最後の作品「旅人」が群像2012年6月号。
この不思議な一家の物語はこれからも書く綴られて行くのかな。
その時、その空気感や世界はどうなっているだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿