黒部と言えば黒部ダムとか、切り立った雪の壁の間を走る観光バスという絵が浮かぶけど、この本は、それらが出来る以前の終戦直後に著者が北アルプスの際奥の地、その地理と気候、黒部源
流にある三俣蓮華小屋(今は三俣キャンプ場という所になっているらしい)を買い取る所から語り始められます。
当時、山賊が出ると言われ、実際に買い取った小屋に無断で住みつき、山で生活をする男たちがいたわけだけれど。
そういう男たちとの交流や埋蔵金伝説、山中の怪異、遭難事件や山小屋での生活など著者が体験したという事が綴られています。
ほんの70年前にそんな生活があった。時代は変わり現在はもうそういう人たちはいないんだろうな…でも山岳事故は当時と変わらず発生しているわけで。
ここに描かれる人たちの姿を想像すると『装備は便利に立派になっても、山の事を知らなければ。知ったつもりでも本当に深く知らなければいけないんだろうな。いやそれでも事故は起きるんだろうけど。』と感じます。
しかし、山に暮らす人々は何故そんな命がけの所で生活の糧を求めるのでしょうか。昔ながらの生き方なのだろうけど、他と隔離された生活を送っている訳ではないし、実際、その子供たちは山を生活の場とはせず、いわゆる普通の生活を選んでいるようです。
そういう時代。ひとことで言えば、そういう事でしょう。
でも、今から見ればそういう生き方のバリエーションがあったんだなと気付かされます。
この本を読み『行ってみたいな』と感じる自分と『無理無理。絶対に無理。』と思う自分が…
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