2016年1月10日日曜日

新潮20016年2月号

第二次大戦(大東亜戦争)の最中、当時日本の占領下にあった北京で発行されていた現在では存在が知られていなかった月刊誌「月刊毎日」という雑誌が発掘されたとか。
読んでみる。
このレベルが日本国内で出版が微妙だったのかと思い、やりきれない。
大佛次郎さんの作品は今でも飛んでいるのかもしれないけど発表を云々するレベルではないし、他の作品なんてこの程度の作品がと思うとやりきれない。これを肯定すると、逆に近しい人を亡くして娯楽小説が読めるのかって反問が返ってきそうな空気だったのか…そういう事を意識しながら読む。
自分ならそういう空気の中で書けたのか。そう問いつつ、書いた人の作品を味わおう。

自分の受けた教育レベルで言えば、旧かな遣いではあるけど声に出すイメージで読めば不自由はないはずだよ。
自分には、何でこれが自由に出版できないと思ったのか。その空気がイタい。

4 件のコメント:

  1. 【村の運動会】壺井栄
    東京へ嫁いだ姉が、幼くして養子に行き疎遠だった戦死した弟の嫁を見舞い、その人を思い出し、また話を聞きながら偲ぶ。
    村の運動会に行くことをためらう嫁に参加を促し、嫁が運動会に参加して、多くの子供たちと触れ合う姿を観て遺児である赤ん坊に「ほれ、ほれ、お前のきやうだいが沢山出来たよ」と涙を流す。

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  2. 【遅桜】大佛次郎
    息子を戦争で亡くした父親が、その子の死を悼んで東京から来てくれる仲間と待ち合わせの場所へ向かう途中、本人が大好きで息子との思い出もある建長寺昭堂へ向かう。昭堂の燈籠の灯は静謐な佇まいだ。
    昭堂をを眺めた後、昔の想い人を見かける。
    仲間と酒を酌み交わし、亡くなった息子の話、偶然見かけた昔の人の話をした後、昭堂を見せようと外へ出るが、燈籠を見た仲間は「この灯りは、妙にまた、艶かしい。」と主人公とは正反対な感想を漏らす。

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  3. 【嫌はれもの】武田麟太郎
    嫌われ者の知人が戦死したとの新聞公告をみた主人公は、自分が行かなければ誰も行くものはおるまいと妻に言って区民葬へ出かける。
    知人はあちこちで嫌われていたが、出征する前に結婚の約束をしたという女性の面倒を見てくれと頼まれていた。
    しかし、それは知人の早とちりで、女性は名古屋へ嫁いでしまっていた。
    主人子は誤解の事実を戦地に知らせることができずにいたのだった。
    区民葬へ行くと、知人が多く参列していた。嫌われ者の知人としてではなく、護国の英霊への弔いとしてだ。ただ一人遺族が来ていなかった知人の遺骨は、勘違いされていた女性が引き取ることとなり、遺骨は女性の実家の墓に入る事になった。

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  4. 【沈黙の島】石川達三
    レイテ島の海戦で散りじりになった後の暴風雨で、主人公とその部下は口を効かない怠け者の島民がいる島に流れ着く。
    白骨死体も打ち捨てられたままで、その死体の頭蓋骨には刃物の跡も見られる。
    丘の中腹の大きな家に着いた二人は言葉を話す島民と出会う。
    その島民は、自分は隣の島の住人で、ここへはこの島を管理するために来ているのだと言い、この島の島民が口を効かず怠惰になった物語を語る。

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