2011年5月27日金曜日

【図書館危機 図書館戦争シリーズ3】有川 浩 著 角川文庫 平成23年5月25日

今回のテーマは、『ねじれる言葉、かられる表現』

“床屋”という言葉が造反語に引っ掛かって・・・ってのがメインのストーリーなんだろう。

自分も以前、その手の周辺にいた事があるけど、あれって作り手がモメないように気をまわした結果なんだよね、実際。

例えば、【巨人の星】(原作:梶原一騎 作画:川崎のぼる)とか、【どろろ】(手塚治虫 作)とか、その筋では名作とされる作品のアニメをテレビ放送(【どろろ】は無理か)した時に、放送者が不適と思った(自主規制団体で差別用語とか決めているんだけど)言葉は抜いて無音で放送され、DVDとかのメディアは(出そうという度胸のある所は)ちゃんと音を抜かずに売る。
なんでかって言えば、テレビは誰でも観れるけど、DVDとかは観る側が選択して観るものという建前があるから。
うっかり差別用語残して、その筋の方に抗議を受けたり新聞沙汰になって企業イメージを落としたりしたくない。
解決金とか、うっかり払ったら相手の実体が反社会的勢力とかなんて事になったら、目も当てられない。

そういうリスクは取らないのがメジャーな企業。
本来、言葉ってものは、それが生み出される背景があって、それがあるから意味が発生するもんだ。言い換えたら違うものになっちゃうことだってあるんだよね。
それを踏まえて原作者が使っている言葉を代えるとか、ちょっと信じられないけど、しかし代えなきゃ観てもらう機会も無いってのは、それでそれで心痛む状況だ。
ってのは、この本のストーリーとは関係のないお話でした。
なんて事を思いながら、この本の世界は、それを御上に強制されたらってお話の世界。まあ、現実にはありえないって思っている。
しかし、新聞やテレビが報じるものは、その時点で無条件に信じがちだ。
信じたものが正しいとは限らないけど、自分に関係なきゃマスコミがそう言ってるからそれで良いだろうって思考停止。
時間が経って、その意味するものが見えてきた時、なんであの時にって思っちゃうんだろうな。
この作品の世界は、そういう現状を一歩推し進めた世界を描いている。
現実にそういう流れが来ないとは断言できない。
来ちゃったら、どう反対するのかって。
自分は、戦って取り戻せるかな?自分の表現を。

巻末のショート・ストーリーは、【ドッグ・ラン】
どうして郁と堂上が絡むと、こういう・・・

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