2021年4月2日金曜日

【割り箸が地域と地球を救う】著者:JYUON (樹恩)NETWORK 佐藤敬一、鹿住貴之 発行:創森社 2007年10月15日第1刷発行

 割り箸は資源の無駄遣いだからマイ箸を持ち歩こうとしきりに呼びかけられたのは10年も前のことだったでしょうか。マイ箸はそれほど定着しなったけれど割り箸は減って樹脂製の箸がおかれる店が多くなりました。

本書では国産の間伐材を使った割り箸は資源の有効活用であり、障碍者雇用も生み出す地域再生・環境保全への出発点であることが書かれています。

また、樹脂製の箸については、環境ホルモンが人体に与える影響が明らかでないから使わない学食もある…そう、この運動は大学生協から生まれたものです。そして、どうしても割高になる国産間伐材を使った割り箸は営利を目的としないそのような団体がいなければ成り立つのが難しいものです。

なぜ余剰物であるはずの間伐材を利用し、労賃が格安の社会福祉法人を使ったものが割高になるのかという疑問がわきますが、それは国内林業の現状を知っていれば考えるまでもないことです。

そもそも林業経営を行っている山が減り、間伐を行っている森林が少ないため、間伐材も少ないということ。あまり行われないということは作業の効率化も行えないということで、いちいち割高になる…

本来の森林経営では適切な間伐を行って高く売れる樹木を育てるのですが、国産材より輸入材のほうが安いことから放棄された森林が多く、林業従事者の高齢化、相続手続きが行われず所有権が複雑化した山の増加も相まって荒れ放題の山がどんどん増えているのは私も見聞きしたことがあります。

間伐材自体が利益を生み出さなければ手を入れる人は減る一方ですし、山全体が利益を産まなければ積極的に相続する人もいませんから法的にも活用することが難しくなる。

つまり、国産間伐材の活用は林業だけではなく国土の有効活用という面でも大切なことなんだろうなと思います。

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