2012年8月5日日曜日

【ケルベロスの肖像】 海堂 尊 著2012年7月20日宝島社 第1刷発行

何か、キャラが軽くなってませんかね。それに、ちょっと無理が増えて、現実味も・・・と、シリーズを終わらせるという事で、いろんなものを急ぎ過ぎたのではと思わなくはない。
一度、サイドストーリーを含めてシリーズを通して読むと、その辺のキャラの変遷や、無理な設定も、まあ仕方なしって思えるようになるのかな。

【チーム・バチスタの栄光】から続く桜宮サーガと呼ばれる世界も、ここで完結とのこと。
これまでの物語を、物語としては破綻なく結末を与えているけれど、イマイチ納得感が・・・いや、それはそれで良いのか。物語の世界だし。
あの人は、本当にあの人だったのか。そこはかとない謎を残していますが。

AIの件では作中で、監察医によってはAIに依らなくても正確な所見を出せる者もいるが、個人の資質に依っていては、見落としの発生は避けられない。一度解剖してしまえば、やり直しは利かないのだから誤りを見つける事は困難な上、現在の監察医制度は、人もお金も足りないし、と従前の主張を、より分かりやすく、監察医の立場を少し立てつつ展開している。

このシリーズの大ヒットも一助になったのか、著者ご本人も、実際にAIの社会認知、普及に成功されているわけで、いろんな意味で凄いシリーズだったと思う。

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