2011年12月24日土曜日

【極北ラプソディ】海堂尊 著 2011年12月30日 朝日新聞出版刊

タイトルが示すように【極北クレイマー】の続編。

物語は、前作で破綻した極北市の市民病院に取り残された今中医師と颯爽と登場した世良院長のその後を、物語的には意外な、しかし現実はそうだろうなっていう様子で語りはじめる。
桜宮サーガの熱心な読者ではない自分的には、この中に出てくる世良院長が、どのような過去を与えられているか知らない。
その闇を知りたくなったりする。
前作で描かれた中央官庁と地方医療、厚労省と警察庁といった大きな仕組みの対決より、地に足の着いた物語。
しかし、ジェネラルは、桜宮の空を飛ばせなかったドクター・ヘリを手に入れているが、物語の最後に大切なものを失う。
いや、読者には手に入れたと思わせていて、実は手に入れていなかった。
世良の闇は晴れたけど、速水の抱える孤独は・・・
著者は小説の中で、AIの重要性を提起し、現実のものとしてきた医療小説の書き手。
物語としても良質のエンターテインメントだ。
ベストセラーとして世の中に問題を提起する希有な書き手だ。

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