2011年10月30日日曜日

【ジェノサイド】高野和明 著 2011(平成23)年3月30日 角川書店刊

まずは、極上のエンタテインメント小説だと思う。
日本の大学院生と、研究者をしている父親の関係。アメリカのイラク戦争を含めたネオコンの描写。アフリカの部族対立。
それに、人類の進化。
一見、関連の無い事項が一編の物語として縒り合されて描かれている。

小さな真実を積み重ねて大きな嘘(物語)を書けというのは、よく物書きの指導者から言われることだけど、これは常に世の中の動きに関心を持ち、丹念に調べ、その情報を取捨選択をすることが必要なのだけれど、この物語は、ちゃんとそれが出来ていると思う。
不可能を可能にしていく海外でのアクションパートは圧巻だが、国内のパートで主人公の友人周りの描写が薄いのは、590ページの分量に対する配慮なのか、研人のそれまでの生活がそれだけだったという事を印象付けたいのか。
しかし、どうせならそこも掘り下げて上下2巻にしてでもと思うくらいに読ませる。

人間の性質とは。人間の進化とは。
ぼくたちは、それをどう考えるのか。

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