2011年5月5日木曜日

【ばかもの】監督:金子修介 2010年 「ばかもの」製作委員会

金子修介監督と言えば、平成ガメラ3部作の監督であり、【デスノート】の監督という事で知られているけど、ロマンポルノ出身の映画監督。

これは、この作品で素晴らしい結実を見せていると思う。
ロマンポルノは、当時映画界の主流だったブロックブッキングという配給方式(といっても、ロマンポルノは成人映画だからブッキングって言っても配給先は限られているわけだけど)で、3週くらいごとに新作を配給するっていう世界で、とにかく映画が撮れて経験が積める場所だったといわれている。
この【ばかもの】は、ロマンポルノ全盛期であれば、エロス大作とか言って大々的に封切られていそう。
むしろ、その方が映像の制約がなくて、もっと重苦しいほどに訴えてくる作品になったのかもしれないけど、制約が多いほど作り手も工夫するし、ポルノじゃない方が予算もつくし、キャスティングも容易だ。
そういう意味では、どちらがどちらとは言えないし、そんな事を想像するのは止めておこう。

物語の舞台は高崎。
酒も飲めない三流大学の学生が、年上の女性と出会い、翻弄され、一方的に捨てられ、自分の弱さに潰されていく。
しかし、それは女性の彼女なりに彼を思いやった行為であった。
彼は、アルコール依存症となり、運転中の飲酒で事故を起こす。
彼女は結婚後事故に遭い、左腕を失くして、一人、父親の残した片品の家で暮らしていた。

お互い、深く愛しながら素直で不器用でSEXでしか彼と繋がることが出来ないと思っている彼女。彼女の行動に翻弄されながら深く愛していく彼を、内田有紀と成宮寛貴が好演している。
いろんな意味で風景がきれいな映画だ。
それに、なんて優しい“ばかもの”という言葉だろう。

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