2011年5月3日火曜日

第20回新人シナリオコンクール佳作「燃えさかる部屋」(小海途愛(こがいと あい) 作)

最近、シナリオの賞の受賞作品と選評を読んだんだけど、素直に褒めるものが少ない。

映画評論家の故淀川長春さんは、どんな映画でも褒めるっていうポリシーをお持ちで、ある映画の評を読んで、そこかって唸った事がある。
言われた方は、分るんだよね。ダメさ加減。
確かに選者から見たら未熟なのだろうけど、言葉なんて、生まれ育った環境でみんな少しづつニュアンスが違うわけで、その羅列である文章は百者百様の取り方があると思う。
具体的にここはこうって言うなら共通理解の手がかりになるけど、そこいら辺は漠然とレベルが低いとかは無しだ。
そもそもシナリオって、それ単体で存在するものではないと思う(だって、映画のためのものでしょ)し、よい所を取り上げ、比較した方が良くないかって思う。
練り上げて良くなるものだと思うしね。

で、第20回新人シナリオコンクール佳作「燃えさかる部屋」(小海途愛 作)
昔のATG映画を観るようなトーンの薄暗さ。
ヒロインの火事で父親を亡くす幼児体験に、おそらくは、母親を助けようと亡くなった父親への思いと母親へのストレスがトリガーとなって持ち歩いているピンクのライター。
ヒロインの初潮と放火と初体験と、ヒロインの初体験の男子の家庭と、両方の家庭の相似性を匂わし、回避する。
で、最後に救いを持ってくると。

ストーリー展開としては面白いと思う。でも、シナリオとしては、後半がガタガタかなあ。
枚数制限がある中での物語の配分って事だと思うから、完全バージョンを読んでみたいね。
でも、これを映画にした時、話に広がり(如何に観ている人の共感を広げるか)が無いし、初潮を迎えたばかりの女の子のセックスシーンとか撮るのキャスティングからしても、面倒くさいしってなるんだろう。
題名も「燃えさかる部屋」が適当なのかは、読了して疑問に思った。
題名の件は、どうにでもなるけど、書いた世界は映画向きではなかったのかもしれない。いや、読み物としては面白かったんだけど。
という事で、小説にしてみたらどうだろう。

あ、自分も結局褒めてないのか・・・

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