2011年4月5日火曜日

【生きるとは、自分の物語をつくること】小川洋子・河合隼雄 新潮文庫 平成23年3月

『博士の愛した数式』の著者 小川洋子さんと、著名な臨床心理学者で平成19年に亡くなった河合隼雄さんの対談。


小川さんのベストセラーで映画にもなった『博士の愛した数式』の設定の話や、著者が意図しなかったつながりとか、河合さんのカウンセリングの話とか興味深く読んだ。
特に、ルート少年の深さについて。

表題の『生きるとは、自分の物語をつくること』というのは、河合さんのカウンセリングの基本姿勢で、何のために小説を書くのかという問いに悩んでいたという小川さんが、この言葉を聞いて「なぜ書くのか」と訊かれるのは「なぜ生きるのか」と問われるに等しい。それを説明できないからこそ、自分は小説を書いていると納得したという言葉。
一方で、“それは人生に積極的にかかわろうという意思の発露だ。自分の物語を作るなんてとんでもない。自分は周りに流れれて生きるのです。”という人もいるかもしれないが、それだって生きている以上、自分で物語を作らざるを得ない。
でも、そう思っている人から物語を引き出してきた河合さん。
実現しなかった小川さんとの次の対談、読みたかったな。

1 件のコメント:

  1. この本は、「博士の愛した数式」を読むか、映画を見るかしてからの方が良いと思いますよ。

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