2011年4月23日土曜日

【100,000年後の安全】監督:マイケル・マドセン 配給:UP LINK

監督のマイケル・マドセンさん。同名でアメリカ人の俳優さんがいますが別人です。

原子力発電所から多量の高レベル放射性廃棄物が排出される昨今、それらの廃棄物は暫定的に集積所に蓄積される。このままでは自然災害や人災の恐れもあるため、フィンランドでは世界初の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場"オンカロ(隠された場所)"建設を決定。雄大な北欧の大地の奥深い場所に、廃棄物は今後10万年もの間保持(人類史上10万年もった建物なんて無いから、最も堅牢な建築物)されることになる。
その場所と、それに関わる人へのインタビューをメインに構成したドキュメンタリー。
子孫に、10万年間核のゴミを捨てた場所への立ち入りを禁止できますかって、わかりやすい主題。
章の区切りにトナカイが映るんだけど、文字の読める人には禁止できるけど、動物や文字の理解できない人には無理だよねって暗示か…

この映画は、ドキュメンタリーと言いながら、カメラ位置や照明、インタビューの組み立てなど、それなりの人々の積極的協力がなきゃできないだろって思う。
日本で、同じような地位の人々にインタビューをしたら、こんなに赤裸々意見は出ないし、インタビュー自体受けてもらえないだろうな。

日本人が、いま直面している問題を10万年後(プルトニウムが無害化される周期?)どうなんだって考える国があるって、それだけで今の日本には衝撃だよね。
日本は今のエネルギーだけ考えて、将来のコストを考えていないんだから。
原発はトイレのないマンションだっていわれるけど、その例でいえば原発推進派はトイレなしで生きていけると考えている人々みたい。
そういえば【天国から来た男たち】って映画(三池崇史監督)で、フィリピンの刑務所に収監された男が、きれいな便座でうんこするために、脅された相手の言うとおりにするってシーンがあったな。

再利用すればいいって?
でも、プルトニュウムの再処理は危険だって、今や高速増殖炉持ってるの日本だけじゃなかったっけ?
この映画に出てくる関係者の一人は明確に“危険過ぎるから再利用すべきではない”って言っている。
さらに別の一人は“ウランだって限りのある資源なんだから、石油と同じように枯渇するという問題を抱えている”とも。

今の原発推進派の人たちの家はトイレ無くても平気なんだろうし、買い食いしてゴミ箱が無いからって路上にゴミを捨てるような人たちなのかもしれない。
しかし、そういう人たちを軽蔑してもゴミは無くならないし、問題は解決しないんだって事を再認識させられる映画だった。『100,000年後の安全』公式サイト


さて、日本の原発問題。

かつて自分が子供の頃経験し、建設中止になった原発ってのは、思えば相手が東北電力だったなって。
今、問題になってるのは、東北電力管内だけど東京電力の発電所。つまりは、自分でケツを持つ必要が無い所にヤクザ使って施設を作っちゃった所。
ヤクザと役人だけがそこに住めばいいんだけど、実際にはそれで儲けた人々は、多分そこには住まない。

高度成長期の政治家や役人が目先の利益を優先したのかもしれない。だって、当時本当に優秀な人間はパージで外れるか、戦争で死んでしまったなんていう話だし。
占領軍の流れでアメリカの意見が強くて、彼らの意向をくむ有力な連中が日本の政策を牛耳ってたって感じなのかな。
それが、多分今も続いてる。
アメリカ、フランス、ロシア(旧ソ連)。
原子爆弾を積極的に作っていた国。
原発って、原爆を作っている国にしてみればコントロール可能で安価なエネルギーに見えるんだろう。その効率を最大化するために原発を輸出する。自分の意向に逆らわない国に。
こういうい事をかくと、イデオロギー問題だってすり替える人が多いけど、客観的に物事を見ると、そういう話なんじゃないのってってしか思えない。

日本の原発推進の根っこって、そんな所なんじゃないかな。
だって、風力、地熱、潮汐力って発電システムは原発導入当時から代替エネルギーとして言われていたわけで、原発にかける同じだけのお金をそれらの研究にあてていれば、今頃は十分に実用化されていたんじゃないかと思うんだ。

現に開発は遅まきながら進んでいるし、これから代替エネルギーを開発し、原発を縮小して行くって政策は実現可能だ。
そちらに舵を取らなきゃならないっていうのは、明白だと思う。

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