2011年3月21日月曜日

【統ばる島 SUBARUSHIMA】 池上永一著 2011年3月 ポプラ社

沖縄というのは、かつて琉球王国という独立国であり、太平洋戦争後はアメリカの統治下に置かれるなど、日本の中でも独特の風俗と特異な歴史を持っている。
日本本土に住む人間は、沖縄と言えば温暖でのんびりした所。リゾート地というイメージを持っていると思う。
その得得な沖縄の地の風俗を物語として語り続けている著者の、最新作。

祭の島、竹富島(タキドゥン)では、神のために女は踊り男は狂言を舞う。
最南端の波照間島(パティローマ)では、生きている世界を抜け出すため、さらに南の島があるという伝説の楽園を目指す娘がいた。
水平線を他の島の山で囲まれた小浜島(クモー)では、一族の家族の絆を紡ぐ一家がある。
双子の新城島(パナリ)では、ザン(ジュゴン)と漁師の青年、そして彼の属する社会。
南海の秘境西表島(イリウムティ)では、一人の男の妄執が渦巻く。
竹富島、小浜島とトライアングルを成すハート形の黒島(フスマ)では神に使われる子どもたちと、子供たちに教育を与えようとする理想に燃えた教師。
八重山諸島の西の果て、与那国島(ドゥナン)では、島を時代の波頭と感じた元女海賊と、その跡に続こうとする孫娘。
そして、八重山諸島の交通の要衝、石垣島(イシャナギゥ)は、他の7つの島を繋ぐツカサがいる。

ここまで来ると、現代の民話と言って良いんじゃないかなと思う。

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