2010年10月28日木曜日

「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」ジョセフ・E・スティグリッツ著(鈴木主税訳)2002年

その昔読んだなって本を語る第2弾。


2002年か・・・。6月はワールドカップで新潟やら長居やら行ってたな。日本代表のゲームも観たし、ベッカムもエトーも生で見た。
って、本の話でした。

著者はクリントン政権の大統領経済諮問委員会委員長で、その後世界銀行の上級副総裁兼チーフ・エコノミストを2000年まで務めたという人物。2001年にはノーベル経済学賞を受賞している。
こんな本読んだっけ・・・、と思って読みだしたら思い出した。

この本では、グローバリズムは世界を豊かにするもので、そういう事例も多くある。しかし、その政策を行う機関が政治やイデオロギーに囚われ、正しい決定が出来ないから世界が不幸になるのだという事を、著者の経験を交えてわかりやすく書いてある。(と記憶している)
途中で再読するのをやめたのは、何だかんだ言ったって、この人もアメリカ視線からしかモノを見れていないからねって思ったのを思い出したから。
基本、今の世界で生きていればグローバル化は当たり前。でも、そのルールは違ったりする。中国なんて統制国家が他の民主国家と同じ顔で同じ市場に参加したりしているのが良い例。
それが悪いのかと言えば、個人的にはそれはそれで認めてあげればいい事だ。それはいつまでも続くものではないと思うし。
でもね、それは不幸の再生産だよね。
今日日(きょうび)あれだけ経済発展が言われ、日本のODA援助を受けていながら日本を超えて世界第2位の経済大国になるというのに、大学を出ても仕事が無い低所得者層を抱える羽目になっているのは、その成長が他の国と比較した低コストに依存するものであるから。
そこにあるのは多くの人間に仕事と所得を分配するだけの経済力は無いという事実だと思う。というか、そういう政策を政府がとっている。これは世界銀行やIMFとは関係のない事だよね。
つまり、彼の言う「おれたちがちゃんとした援助をしてやらないからダメなんだ」という事でもない。
確かに腐った援助や支援対策も多くあるんだろう。彼の経験を読むと、そういう人たちに、むかっ腹が立ってくる。
と同時に、そういう者から援助を受けなければならないとか、彼らの言う必ずグローバリズムに乗らなければならないなんて事があるのか?とも思う一冊だった。(と思う)
そもそも、誰にでも平等で幸福なグローバリズムなんてあるわけがない。
経済学者の言う事なんて、あてにならないし。

2~30年くらい前にレスター・サローって人が書いたゼロ・サム社会って本があったけど、そっちが現実感があるな。
ドラッガーがはやっているくらいだから、サローも来るか?
来ないと思うけど。

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