2012年7月11日水曜日

【二月二日ホテル】 北方謙三 著 文春文庫 1995年2月10日第1刷

随分昔に買った本をひっくり返して読んでいる。
正直、“ハード・ボイルド”は苦手だ。
中学・高校時代の万能感と、無力感を思い出させられるから。
なんで、こんな本を買ったんだろうかって思いながら、読み返してみた。

北方謙三の、全共闘時代に生まれ育った“カメラマン望月”を描いた短編集。
自分は、全共闘の世代とは遠く離れているけど、高校時代に写真部の友人がいたり、社会人生活を始めた頃にカメラを教えてくれる人がいたりと、まあそっちの方には縁は無くはない。

読み終えて思ったのは、今の時代にこの世界は受け入れられないだろうなって事。
ひょっとしてハードボイルドって世界自体が死に絶えつつあるのかもしれない。
望月の選択や行動の動機が、今の世の中では理解されないんじゃないかという危惧を持った。
そうなってしまったら、これはただの世を拗ねたスーパーマンの物語になってしまう。

文化とか、伝統芸能とか言うけれど、ぼくらの日常は、こういう所からも崩れていっているって事は、ちゃんと認識しておくべきだねって思った。

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