2011年4月30日土曜日

【八日目の蝉】監督:成島出 2011年 八日目の蝉製作委員会

蝉は7日しか生きられない。でも8日生きてしまった蝉がいたらどう感じるか。
父親の不倫相手に誘拐され、育てられた恵理菜。
幼児誘拐の被害者として恵理菜に取材をしたいと申し入れた千草が、蝉が建った7日で死ぬなんてあんまりだと思わないかと尋ねられ、「ほかのどの蝉も7日で死ぬんだから7日で死ぬのは寂しくない。みんな同じだし。でも8日目の蝉がいたら、仲間はみんな死んじゃってるのに…その方が悲しいと思う。」と答える。
恵理菜は、自分を誘拐し、薫と名づけ、愛情いっぱいに育ててくれた希和子と同じように、妻子ある男の子供を妊娠する。
千草と恵理菜の取材旅行の途中、「実は堕ろそうと思ったが、生まれてくる子にいろんなものを見せたいと思った。」と語る恵理菜に、千草が「8日目の蝉は、他の蝉には見られなかった何かが見られる。それはもしかして、すごくきれいなモノかもしれないじゃない。」と言われ、「そうかもしれない。」と同意する。
父親のいない子どもを産んで、どうやって生きていくか悩んでいた恵理菜が吹っ切れていく演出が、手堅い。
写真館で昔の写真を現像してもらい、印画紙から絵が浮かび上がってくるアイディアとか。
「誰も憎みたくなかった」っていう恵理菜のセリフ。
「私、どうしてだろ、もうこの子が好きだ。まだ顔も見ていないのに、どうしてだろ。」
ってセリフは、すべての救済となっている。

しかし、不倫のダメ男2名は救済されていいんだろうか。
愛してしまったからしょうがないって事で許してもらえるもんでしょうかね。

不倫相手の子供を誘拐する野々宮希和子役の永作博美さん、子供を誘拐される母親 秋山恵津子役の森口瑤子さんの演技は定評があるとして、恵理菜役の井上真央さん、千草役の小池栄子さん。とっても良かったです。
井上さんの感情を抑えた演技、小池さんの頼りなさ感を出した演技。
それぞれ、生い立ちからして、そうなるんだろうなっていう演出であり、その求めにきっちり演じ切ったお二人でした。
男優陣は、写真館主人の田中珉さん以外、背景に徹した描き方と演技。
こちらも潔さを感じた。

0 件のコメント:

コメントを投稿