稀に役作りのリアリティを持たせるために奥歯を抜いたみたいな話を聴くけど、個人的にはそんなアプローチは演技じゃないと思っている。
そう見せる演出や小道具、ひいては演技力の欠如から来る自己満足なんじゃないかな。
見れば確かにすごいし感動もするかもしれないけど、それって他の方法は無かったの?と。
監督さんは喜ぶかもしれないけど、同時に自分の能力の無さを見透かされてる事にもなる。
この作品の主役である安藤サクラさんは、イチコ役をやるために太ったんだろうな。
リアリティと言うよりリアル。
太るくらいはいいか・・・
ボクシングをやっていく中で、見事に痩せて行く。
役作りで体重を増減させるというのは、ザラに聴く話。
あの体型だと、確かに自宅で手伝いもせずゴロゴロしてる30過ぎのニート女という説得力は増す。
離婚して帰って来た妹と殴り合いのけんかをして家を出て、100円スーパーでバイトを始めるあたりでも出来るのかどうか不安感が出る。
痩せて行く事で、ボクシングにかける本気度が見えてくる。
彼女の周りは家族とボクシングジムの会長とトレーナーを除けば不審者ばかり。
それはそれで、この物語にふさわしいリアリティかもしれない。
しかし、この物語はそれなりの期間があるはずなんだけど、物語が転がっていくだけで画にメリハリが無いというか、時間経過の物差しが無いというか。そこが残念な気がする。
百円スーパー往復の途中で芽生えた彼女の恋が百円スーパーで前進し、破局し、元に戻る。
それが数週間(なわけが無い)なのか、数か月なのか、1年なのか、数年(これも無さそう)なのか。
それによって、もっと伝わるものある気がするんだけど。
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