長い物語である。上巻652ページ、下巻805ページ。
過剰な描写や先回りした説明などもあるが、この物語の主人公の一人、図書館の魔女のマツリカが語れない設定であれば、ある程度はあって仕方がないのかと思う。
しかし、これが上下巻揃っておいてあったら読む側としても構えるな。
本来関係のない人に物語の世界に入ってもらうにはどうするか。まあ、あんまり長すぎたら放り投げられるのが普通な話で、この小説はそういう意味でギリギリの線かなと思う。
一国の権力機関の一人と言うより、王室、議会の二大権力に比類する図書館の主であるマツリカは声を出す事が出来なく、先代からマツリカの下に遣わされたキリヒトは文字が読めないが鋭い勘の持ち主。
この二人を中心にマツリカの国を含んだ3国の緊張関係の変遷が描かれると言えばよいのだろうか。
ある種のジュブナイル小説と言えるし、語られた言葉と語られない言葉の関係性で言えば新本格と言われるジャンルの推理小説の片鱗も見る事が出来るとも言える。
予断を持たないで読んでみて、読了した後にどんな気持ちが宿るか。
どうであれ、一度読んで感じてみてはどうかと思う。
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