2012年12月30日日曜日

【歓喜の歌は響くのか 永大産業サッカー部 創部3年目の天皇杯決勝】斎藤一九馬 著 角川文庫 2011年8月25日初版発行(『駆け抜けた奇跡 サッカー天皇杯にかけた男たちの夢』加筆・改題)


創部3年で天皇杯決勝?絶対無理とは言わないけど、ありえないでしょ。
でも、実際やったチームがあったんだね。まあ多少の“まあ、なんだ。あれだよね。”って問題はあったとしても。

永大産業という会社は戦後指折りの大型倒産をした会社として知っていたけど、サッカー部の事はよく知らなかった。セルジオさん、コーチで少しいたんだね。
3年で日本リーグ1部に上がれというワンマン社長の号令で子会社でサッカー部が出来、当時JSL一部から降格が決まった名古屋相銀のチーム解散を受けて主力選手を引っ張る形でチームを強化し、永大産業本社サッカー部創設。
本社チーム創部から3年目で1部に上がり、リーグ戦では苦戦し、後期からブラジル人3人を補強しながら9位と入替戦行きながら、天皇杯では決勝進出を果たす。
こう聞くと、典型的な成り金チーム。
でもこのチームが会社の業績不振・銀行管理となる過程で解散させられた後も、地元にサッカーが根付き、Jリーガーも生んでいるという。
誰かが種を蒔かなきゃ芽は出ない。その蒔き方はいろいろあるけど、丈夫な種なら根付く事が出来る。
もちろん蒔くだけじゃダメで、一人立ちできるまで育てる人も重要。

この本は芽が出るまで面倒を観た人、河口洋さんを中心に、種を蒔いた人である永大産業創業者 深尾茂氏の物語も交えて書かれている。
動機は何だかなあってもので、やり方も正攻法ではない部分もあるけれど、創部3年で天皇杯の決勝まで行くって事実は変わらないし、素直にすごい事だと思う。

話は、この本から離れるけれど、今年の天皇杯。J2降格が決まったガンバ大阪が決勝まで残った。
ガンバと言えば前身は松下電器産業(現在のパナソニック)で、この物語の頃はJSL1部にはいない。
来年の元日に天皇杯決勝で対戦する柏レイソルの前身は、当時からJSL1部の強豪 日立製作所。
今の位置づけとしては、クラブ初の2部落ちをする西の名門と、2部も経験しているチームだけれど、この頃から観ている人にとってはJSLオリジナル8の日立と新参の松下って事になるのかな。
そんな事は関係なく、観れる所がサッカーも根付いてきたという事だね。

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