2013年10月27日日曜日

【原発ホワイトアウト】若杉 冽 著 講談社 2013年9月11日第1刷発行

“現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!!”と帯に書いてある事から分るように純粋に文学作品ではないと思う。実際、エンタテイメントも目指していると読めるけど、成功していない。
しかし、現在の状況をそのまま名前を置き換えて書かれているだけに、リアリティを与える事は出来ていると思う。現実、その通りかどうかわからないが、そういう面はあるし。

電力会社の総括原価方式により生まれた過剰利益。それを守るために政治家・官僚に分配し、その仕組みを維持していく。
国民の意識が変わらなければ、テロが起きても、その構造は変わりませんよ。
簡単に総括すれば、そんなお話。
いつも思うんだけど、国民の意識とマスコミって話。SNSが普及してきている今後は変わっていくんじゃないかなと信じたい。

この本のストーリーとは少し離れるけど、原発を作るには莫大なお金がかかる。
純粋な建設資金の他に安全対策や地域住民の対策の費用、また発電された電気を供給するための送電網や原子力燃料や廃棄物を安全に運搬するためのインフラ整備費。
原発の立地条件として
1.基本的に水冷方式なので、大量の水が安定的に供給できる事…つまり海沿いという事になる
2.地震で地割れなどが出来ない強固な地盤である事…断層があれば建物が基礎から崩れてしまう
3.専有できる広い土地がある事…万一事故が起きた際に周りの住民の被害を最小限に防ぐ、被害を受ける住民を最小限にとどめる
当然そんな土地は、限られる。
多少の人が住んでいても立ち退きさせる。
それには、住んでいる人の同意が必要だから補償金を与える、それでも立ち退かない人は地上げ屋を使って追い出すという事が行われていたと聞く。
つまり、原発の建設には反社会的な団体との関わりが不可欠とも言える。

国の政策で推進された原発。
そもそも石油に代わるエネルギーは、別に原子力である必要は無かったわけで。
代替エネルギーの中で一番お金になるのが原発であったからって事だろう。
亡くなる前に中曽根さん話してくれないかな?

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