2010年12月21日火曜日

【小説 会計監査】 細野康弘著 2010年6月10日 幻冬舎文庫

大学3年の時、当時の友人たちに「すべての学問の基礎は哲学だ」って言ってあきれれれた事がある。経済学科でいながら会計学のゼミを取ってるという(それを認める大学も大学という説もあるけど)変人の意見って流されたのは、雰囲気で判った。
まあ、まだその持論は捨ててないけどね。

この本は、小説 会計監査って題名だけど、会計監査の実際の現場や手法を書いているわけじゃない。(そういうのをエンタテインメント的に読みたければ「女子大生会計士の事件簿」シリーズなんかの前のシリーズが面白く読めるかも)
この本で著者が書こうとしているのは、会計手法じゃなく、哲学というか、精神の問題だと思う。
そんな知識無しでも、読み物としてちゃんと読める。

著者の公認会計士時代、著者の署名がある有価証券報告書を提出していた会社にいて、少し同じ時代を生きた身としては、フィクションが全部が全部フィクションじゃないなって感じる。
それなりに、いちいち対応する実在した会社の名前を挙げる事が出来るし。
でも、実際は、どうだったのかってのとは違うだろう。ほとんどフィクションだよね、あくまでも。(という事にしておく)

自分のレベルでは、あの時代の空気感ってあったけど、あんな嘘くさい主張が一般受けしてしまうのが不思議だなぁくらいだったけど、責任ある立場にいた人たちにとってはトンデモナイことだったんだろうなと。
いまだにあの時代の負の遺産をしょってるんだよねって、個人的には思うけど、一般的にはそうでないみたい。まだ10年経つか経たないかだと思うんだけど。

この本は、文庫になっただけ奇跡みたいなもんだと思う。会計の問題に特化しなかったのが良かったんだろう。
もっと娯楽色を強めて、多くの人に読んでもらえれば、世論の幅ってのが広がるのかな。
そこいら辺は、少し残念だけど、仕方ないよね。これ、少し極端かもしれないし。(極端じゃなかったら相当ヤバいっていう意味では、もっと読む人が増えたら良いな)

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