2010年12月11日土曜日

ノルウェイの森 Norwegian wood 監督:トラン・アン・ユン 2010年 アスミックエース-フジテレビジョン

日本の資本で、日本の原作で、キャストも日本人。だけど監督とキャメラは外国人という、まあ今後の日本映画界の今後を見る上では、ちょっと気になる作品。


監督のトラン・アン・ビンはベトナム出身で「青いパパイヤの香り」で17年前にカンヌのカメラドールを取っている。
撮影はマーク・リー・ピンビン。こちらは香港のカメラマンで、このブログでも以前触れた「空気人形」の撮影監督でもある。
ビートルズの楽曲が、そのままで使用許可が出るって、初めてのケースらしいけど、それだけこの原作のパワーがあるってことなんだろうな。

映画は、オープニングから端正な画面だ。
でも通して見て、画の構図は綺麗だけど、必ずしも狙い通りになっていたんだろうかと思う。とにかく中途半端に薄暗いシーンが気になる。う~ん、こんな照明でもちゃんと映るんだななんて思っている場合じゃない。それが、心情描写の演出にしてもだ。
構図的に美しくても、無理のあるシュチエーションとかもね。

出てくる俳優さんは、みんな綺麗に映ってる。
きっちりリメークして、ライト当ててとか、カメラのアングルなんかとかは、さすがと思ったり、面白いと思ったりしたけど、画面の切り替えが妙に唐突だったりするあたり、どうなんだろう。
原作は相当前に読んだ記憶があるけど、忘れていて、この映画を観て思い出した部分が多い。これは観る前に原作をおさらいすべきだね。するとしないとでは味わいが随分変わるんじゃないかって思う。
まあ、原作は原作。映画は映画だけど、背景は共通しているわけだからね。
カメオ出演の人を探してみるっていう楽しみ方もあるから、意外と気が抜けない。

主人公、ワタナベ(松山ケンイチ)の、実直なんだけど、その場の勢いで行ってしまう傾向。そういうのを自分できっちり引き受けて真摯に対応するって、結構難しい。
悲しみを抱えたハッピーエンドなんだろうか。まあ、人生が終わるわけじゃないから、エンドじゃあないか。
個人的には、ハツミさん役の初音映莉子さんの真っすぐ澄んだ瞳が良かったかな。
ナオコ役の菊池凛子さん、ネコのような演技も素晴らしかったけど。

映画としては、ストーリーや背景を原作を読んだ勢いで補いながら映像の綺麗さを見ると良い感じってところだろうか。
演出は、言葉はいらないのかもしれない。しかし、セリフがイマイチ不明瞭なところがあり、気になった。言葉を理解する耳は必要なんだと思う。

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