2010年5月5日水曜日

効率的って

「効率的」、「無駄を省く」というのは、何事にも推奨される事になっている。
何と比べてといえば、もちろん、これまでと比べて。

もうずいぶん昔の話、銀行に就職した友人(銀行は破たんして、本人は消息不明。ま、消息不明は破たんとは関係ないと思うけど)が、コンピュータが入って業務が効率化されたはずなのに、残業量は入る前と変わっていないらしいっていう笑い話があるという話をしていた。
これは、まあ減った分、他の業務が増えたって話なんだろう。
最近の小売業界は、卸を通さずに直接生産者と取引をし、極端なケース、その物流まで自前で持つらしい。
それは、生産者と小売業者は、卸を通さない事によってその分生産者は幾分高くモノが売れるかもしれないし、小売業者は安く仕入れる事が出来るかもしれない。
つまりは生産者と小売業者双方にとって良い話で、消費者にも安く提供できるという話だけど、この考え方には大きな間違いがある。

卸という業態は、さまざまな商品を取り揃えることで安定的に小売りに商品を供給する事によりマージンを取っている。
その段階を飛ばす事は、多商品の安定供給というメリットをなくす事になる。
そしてもちろん、そこに働く人々の生活を脅かす事になる。
働く人々=消費者である事を考えると、それに代わる雇用を創出しなければ、モノが売れなくなるという現象が起こる。
消費者は、一層安いものしか買えなくなり、安いPB商品が売れてゆく事になるが、それは、小売りによる生産者支配という構造を招く。
そうなると、どういう事が起こるのか。

自分が、かつて携わっていたビデオ・DVD業界では、TUTAYA、GEOという2大チェーンの出現によりレンタル価格が下がり、メーカーの収益は激減した。
折からの経済不況やインターネットの普及による販売不振と相まって、インディーズメーカーは、資金回収が難しくなり倒産もしくは撤退という状況に陥っている。
メジャーだって、モノが売れないのは一緒。
作り手が、どんどんわかりやくす大規模な作品製作に偏り、同じような作品や既に有名な原作を使ったモノばかりになる。
すると、そのパターンに飽きたお客さんが離れてゆく。
売れる作品が少なくなるから、売り場も縮小され、いわゆる衝動買い、ついで買いという事も無くなり、市場規模がどんどん小さくなってゆく。
そういう現象が起きている。
まあ、映像作品なんて娯楽のものだから、無くても誰も死なないという意味では、大したことないとは言える。

でも、それが生活必需品だったらどうだろう。
最終出口である小売りが価格決定権を持つという事は、生産者にしわ寄せがくるということに他ならない。
つまりは、消費者のため、安く商品を仕入れる
=卸を飛ばす=卸の廃業による失業率増加→全体の購買力減
=卸が無くなるため、販売先が少なくなった生産者にたいする小売業者の影響力増大→価格低下圧力増大による生産者の購買力減
=小売業者が仕入を選別する→消費者の選択肢が減少→消費者の幼稚化
という構図になってしまうという事
確かに安くて良い物は買いたいけど、それは、そのようの構図の上であっては、結果的に自分で自分の首を絞める事になる。

今の世の中、利益至上主義による産業構造の変化は避けられないみたいだ。
でも、税金で雇用対策なんかをやるくらいなら、独占禁止法なんかを拡充したほうが成果は上がるし、より豊かな世の中になると思うんだけどな。
モノの価格は上がっても、多くの人が安定して生活できるようになれば。
う~ん、でも複雑な流通システムは非関税障壁だって欧米から叩かれてたっけか。

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