2011年1月1日土曜日

【モルフェウスの領域】海堂尊 著 2010年12月

あけましておめでとうございます。

年末年始、成り行きで本を選んでいましたが、今年一番初めに読了したのはこの本。
簡単に感想を言うと、昔の恋人に会って、ひょっとしたらやり直せるかもって少し一緒にいたんだけど、分かれた当時漠然としていた自分がダメだなって思っていた所がさらに大きくなっていた事に気づいたって感じ。

著者は、『チーム・バチスタの栄光』でこのミス大賞を受賞後、医療ミステリーの分野で活躍している作家という認識がある。

過去、自分が読んだ事がある作品は、「ナイチンゲールの沈黙」(これは、他の作品でも気になる言及がされる事があるので、とっておけばよかったと思ったが、古本屋に売却した後だった。)「ジェネラル・ルージュの凱旋」、「螺旋迷宮」、「イノセントゲリラの祝祭」、「極北クレーマー」。

正直この本を読んで、そろそろお別れにしようかって、彼の作品を読まないようにしていたんだけど、“田口、高階病院長、如月翔子ら東城大学病院に面々がそろい踏み」という帯に惹かれ、未練はあったけど、別れた彼女に会いに行く。ひょっとしたらまた好きになれるかも。みたいな気分だった。
これまで読んだ本は、著者の圧倒的なホームグラウンドで、素人のぼくらは人道的見地においてしか登場人物の判断を評価する事が出来なかったし、それなりの専門用語に幻惑されて読んでいた事は否定できない。

この作品の描いているのは凍眠(コールド・スリープ)。個人的には小学生から高校入学くらいまでハマっていたSFの領域。(すぐに思い浮かぶのは「夏への扉」かな。)
その領域であれば、少しは先回りした考え方が出来るぞと。
読んでみて思ったのは、人間が描き切れていないという事。
つまり、これまでは自分の知らない世界の物語で、この作品は自分の世界でも起きて当事者になりかねないかもっていうことで、自分に著者の欠点がはっきりわかってしまったと言えるんだろうな。
設定にも無理があると思うし。

ああ、でも過去の作品の登場人物のその後を知りたいって方には良いのかも。(白鳥ファンの方には、登場が無いのでがっかりでしょうが。)

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